明治乳業賃金等差別事件での都労委の不当命令に対する声明
(2013年7月9日)

  1. 本日、東京都労働委員会は、全国9事業所の申立人32名(全員が既に会社を退職しうち6名が死亡している)による不当労働行為救済申立(以下「全国事件」という)について、会社の不当労働行為を否定する不当な棄却・却下
    命令を申立人らに交付した。
  2. 本件事件は、事業所採用コースに振り分けられた申立人らが、同じコースに所属する他の従業員との、職分・号級格差の是正を求めた事案である。申立人らには、他の従業員と比較して2〜3職分の職分格差(年数にして16年以上)と年間100万円を超える賃金格差があった事件である。
     ところが命令は、1)申立人らが立証した職分号給上の大幅な格差をことさらに無視し、2)東京高裁判決が認めた不当労働行為を否定し、3)会社が立証責任を負うべき格差の合理性立証について、申立人らにその立証を押し付けるなど、きわめて不当な判断である。
  3. 明治乳業の賃金職分差別事件は2つの不当労働行為事件として、労働委員会等争われてきた。昭和60年に申立てられた「市川事件」(平成8年に都労委で敗訴命令がでた)と本件の「全国事件」である。
     この2つの事件は、昭和40年代初頭から始まった申立人らを敵視・嫌悪した会社の方針の下、昭和44年の新職分制度の導入・実施以降申立人らの退職まで一貫して続いてきた賃金職分差別の不当労働行為事件である。会社はインフォーマル組織を作り育て、申立人らが執行部を担っていた組合支部を会社派の組合員に乗取らせ、その後支部執行部から排除した申立人らに脱退工作をしたり、みせしめに賃金職分差別をする等して、その勢力の弱体化を図った。
     こうした連続した不当労働行為を繰返し、賃金や昇進差別をする事は、労働組合の運営に関する典型的な支配介入である。こうした事件は、昭和40年頃以降に全国各地の労働委員会に集団的賃金昇格差別事件といわれる類型の不当労働行為事件として多数係属するようになった。本件事件はこうした数多く争われた大企業職場での集団間差別事件の一つであり、最後の大型事件である。
  4. 本日の都労委命令は、市川事件での都労委命令の誤りをただす機会でもあったにもかかわらず、会社の主張を認めて再び労働者の切なる願いを踏みにじったものである。都労委が申立人らの主張を棄却・却下するという、根本
    的に誤った判断をしたことは強く批判されなければならない。
  5. 私たちは会社に対して、この命令の結論に関わらず争議の全面的な解決交渉のテーブルにつくことを求める。合わせて食品企業としての責任を自覚し、食品の安全、責任を尊重する企業としての努力を求めるものである。

2013年7月9日
明治乳業争議支援共闘会議
明治乳業賃金昇格差別撤廃争議団
明治乳業賃金差別事件弁護団

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