8月活動レポート
(9月18日)


1,第54次座り込み行動
 2016年1月から始めた座り込み行動の継続は、今夏も熱暑の毎日、サマータイム(午後4時から5時)第54次(8月18日)として取り組みました。

明治乳業争議支援共闘会議・松本議長の主催者挨拶
 明治乳業争議支援の座り込みにお集まりのみなさん、ありがとうございます。
この行動の目的は、明治HDの川村和夫社長に中労委の付言に基づき、話し合い解決を求めるためです。いま問われていることは何か。コロナから命を守る、気候変動に伴う災害から命と暮らしを守り、よりよい社会をつくることです。
 なぜ、こんなひどい社会になったのか。1980年代に、イギリスのサッチャー首相、米のレーガン、日本の中曽根首相が、弱肉強食の市場原理主義、株主資本主義、すなわち、新自由主義に舵をきったからです。そして先ず最初にやったことが、米ではレーガンが飛行機の労働組合つぶし、中曽根が国鉄の労働組合つぶしを行い、派遣自由化を強行し、労働者をもの扱いする社会にしました。
 明治乳業争議も同じ構図です。当時、食の安全と働く者の人権を守れと行動していた社員に対し、赤組のレッテルをはり、徹底的に人権侵害と賃金差別を強行しました。明治乳業大阪工場の糸賀久さんは、高卒基本給15万円台で入社し、退職時の基本給も15万円台、一回も昇格させず、年収200万円も賃金差別されました。このような差別事件は、当時、ほとんどの大企業が行っていましたが、今では、明治乳業争議以外は、労使の話し合いで解決しています。中労委命令は棄却でしたが格差の存在と不当労働行為を認定し、ことに会社に対し、話し合い解決を求めましたが、明治が拒否し、現在、最高裁で係争中です。
 なぜ、明治乳業争議だけが解決しないのか。それは、一兆円企業の明治HDを支配しているのが労使協調の労働組合出身者だからです。明治HDには、5人の社内取締役がいます。社長は、川村和夫氏です。川村氏の経歴は、現在、株式会社明治の顧問である中山悠元社長も明治乳業労働組合の委員長を経歴しています。その中山社長の時代に、川村和夫氏は、男秘書になり明治乳業労働組合委員長を経歴して、社長にご栄転しました。
 また、もう一人の塩崎取締役も明治乳業労働組合の書記長を経歴して、取締役になりました。こんな異常な企業は、明治HDだけです。だから、都労委、中労委、東京高裁などが話し合い解決を求めても一切応じない、異常な対応をしています。だから、粉ミルクセシウム汚染事件の際は、原因を隠ぺいし、東洋経済に「隠ぺいやまぬ明治」と指摘され、中国から粉ミルク事業は撤退に追い込まれました。また、2017年には、都内や埼玉県で明治の牛乳が原因で異臭事件が発生しました。この時も、国会で追及され「原因は特定されていない」にもかかわらず、原因を子どもたちの味覚や、酪農家に押し付け、隠ぺいしました。その結果、新宿区は、明治から他社に給食牛乳を切り替えました。まさに、反社会的企業、ブラック企業です。
 明治HDと株式会社明治による社員差別は、現在も引き継がれています。先日、明治HDの株主総会が行われました。明治HDの取締役5人中2人が明治乳業労働組合経歴者、竃セ治の取締役36人全員が男性です。食品企業でありながら、女性が意思決定の場に参加できません。これは明らかに女性差別です。国連でジェンダー平等が提起にされているにもかかわらず、時代遅れのジェンダー差別社会が明治の社風です。
 明治ホールディングスが12日に発表した2020年4〜6月期の連結決算は、純利益が前年同期比7.8%減の133億円となった。売上高は前年同期比5.9%減の2811億円、経常利益は前年同期比5.1%増の235億円、営業利益は前年同期比12.2%増の231億円だった。労働争議を解決しない企業は、疲弊するとのジンクスどおりです。
 社員のみなさん、私たちは明治HDと明治の発展を願っています。社員に対し、人権侵害、賃金差別、女性差別をする企業は、発展しません。社員を大切にしてこそ、消費者も大切にできます。まっとうな企業にするため、声をあげましょう。
 消費者のみなさん、利潤第一の市場原理主義を見直し、環境や人権を大事にする社会に変えていくため力を合わせましょう。私たちは、食品事故36件、死亡事故7件、解雇争議など12件を繰り返し、未だに、思想差別、賃金差別争議を解決しない明治製品に対し、不買を訴えます。この争議が解決するまで明治おいしい牛乳は飲まない、明治のヨーグルトは食べない、明治のチョコレートは食べない、不買運動への協力をお願いしまして、訴えとさせていただきます。ありがとうございました。


参加者へのお礼と決意表明・松下秀孝副団長
 社前で配布しているチラシを紹介しながら旧明治乳業時代からの人権侵害、誹謗中傷が毎日茶飯事に行われていたことを告発、


◆嶋崎さんへの生涯差別
 大阪工場で真面目に働いてきた原告の嶋崎又一郎さん、職場の同僚が次々と昇格していくのに、ただ1人、職分は何年たっても入社時のままでした。それが30年以上たって定年の1年前、1ランク昇格したのです。4月の「昇格通知」を懐に入れて帰宅。その夜る「オレもやっと人間としてみとめられてか・・・」と云って奥さんと乾杯したといいます。
 その嶋崎さん、定年退職して1年、あまりにも早く他界されてしまいました。まさに差別まみれ、差別に翻弄された人生でした。しかし、それは反面、会社からの誘惑をけって自己の信念と正義を貫いた生涯でもあったのです。他界後、奥様が彼の意思を引き継ぎ、人権否定の無念を晴らすため原告継承者として、いま共に闘っています。

◆1人の労働者を隔離する「職制連絡会」メモ
 ○橋元を隔離管理する
 ○橋元を「赤」ときめつけてまわりを牽制する
 ○臨時(者)は橋元の思惑通り進みつつあるが、なんらかの方法で歯止めしたい

◆「スパイになれ」拒否すれば昇格無視
 「菊池君、君は仕事を一生懸命やっても勤怠がいくら良くてもダメだ。仲間の動きを会社に知らせろ(スパイ)報告なしに給料は上がらないよ」。なんという「公平」な人事考課か?何人もがこんな仕打ちに・・・。

◆大人の社会で考えられますか 許せますか、激しい悪罵中傷・排除分断の嵐!
 人格も品性もない明治、こんな下卑・低劣な言葉が…
「不逞のヤカラ」「赤虫」「生産阻害者」「ならず者」「ベトコン」「害虫」「無能者」「赤い水虫」「赤ダニ」「赤い大根(女性に)」「雑菌」「赤い火の粉」「赤オニ」「企業秩序破壊者」「赤がえる」
 これらの表現は、インフォーマル組織・「明朋会」が門前で配布したチラシの中に踊っていた。 ―明治よ、消すことのできないこの事実をどう考える― と告発。中労委命令・付言の立場に直ちに立ち長期争議解決に向き合うことを訴えました。

2,明治グループ役員宅訪問・要請
 8月訪問を予定していましたが、新型コロナウイルス感染が再拡大の様相から、7月に引き続き明治HD・川村和夫社長と株式会社明治・松田克也社長には「申入書」を、株式会社明治・中山悠名誉顧問、同・浅野茂太郎名誉顧問には「要請書」を郵送で争議団と支援共闘会議の意向を伝えました。

【株式会社明治・松田克也社長への申入書】

2020年 8月22日

株式会社 明治
代表取締役 社長 松田 克也 殿

神奈川県労働組合連合会
議 長  角谷 和典
明治乳業争議支援共闘会議
議 長  松本  悟
明治乳業賃金・昇格差別撤廃争議団
団 長  小関  守

要 請 書
━━ 松田社長、人道上も放置が許されない長期争議の当事者企業として解決を決断してください全面解決への道筋は、司法判断でも維持された中労委命令の事実認定と「付言」に鮮明です━━

 市中感染や家庭内感染の広がりなど、コロナ禍の厳しい状況下での企業活動に敬意を表します。
 私たち明乳争議団は、市川工場事件から35年余、全国事件(9事業所)からでも26年が経過する極めて異常な長期争議であり、それぞれが様々な疾病を抱えながら「なんとしても解決局面を」の決意で頑張っている高齢者集団です。従って、コロナ禍のもとでは「感染しない・させない」を第一に様々な行動を自粛し、全面解決に向け必要最小限の行動に絞って継続しています。

 松田社長、第11回明治HD株主総会(6月26日)を踏まえた上で、ご自宅にお届けした要請書(7月18日付)にも明らかですが、35年を超えて長期化している明治乳業争議の審査・審理の到達点は、中労委命令(2017年1月)の事実認定及び「付言」の内容にあります。
命令は、事件の全体像を注意深く認定・判断した上で、格差の存在を「紛れもない事実」と認め、不当労働行為意思についても「会社は非難を免れ得ない」と指弾しました。すなわち、労組法27条2項(除斥期間)の関係では救済できないが、過去の企業活動上での否定できない歴史的事実として明確に認定し、「互譲による合意」という解決への道筋を提起したうえで、殊に会社に対して「より大局的見地に立った判断が強く期待される」と、踏み込んで解決を促したのです。
私たちは、「除斥期間」を理由に救済を放棄した誤りの取消訴訟を闘っていますが、総力を挙げるのは司法判断でも維持された中労委命令「付言」に基づく、貴社との和解解決への道筋です。

最高裁・都労委を闘いながら、貴社との「互譲の合意」による全面解決を目指し総力を挙げます
 松田社長も十分に承知だと思いますが、明治乳業事件は中労委命令の事実認定や付言を待つまでもなく、典型的「不当労働行為・差別事件」です。1960年代後半から、会社の合理化施策をめぐって強まる全国の工場段階での組合活動に危機感を強めた明治乳業は、職制機構を総動員して「インフォーマル組織」を結成し、労組役員選挙に向けて従業員を「紅組・白組・雑草組」(笠原ファイル)に分断管理。そして、職制らが中心となり昇給・昇格や仕事差別で脅しながら、紅組・雑草組の労働者らに執拗に転向を迫る工作を長年続けたのです。これらの事実を裏付ける職制らのノート類などの証拠について、中労委命令は「(5)事実認定に関する補足説明」(39頁)の項を設け、秘密資料類の立証に関して「それぞれ成立の真正が認められる」と明記したのです。

 私たちは、典型的「不当労働行為・差別事件」を免罪する法体系や判断の誤りを正す闘いを継続します。しかし、総力を挙げるのは後期高齢者集団となった争議団の現状を踏まえ、貴社と明治HDに対し人道上も放置が許されない人権問題として、全面解決への話合いを求めることです。

以上

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