10月活動レポート
(11月6日)

 

東京争議団共同宣伝 10月2日
 「一人の首切りも一切の差別も許さない」一点での共同で、争議解決をめざす東京争議団共闘会議宣伝行動に明治乳業争議団も参加し、高裁口頭弁論の闘いを報告し解決に向けて決意を訴えてきました。
証人採用で再審理こそ真実解明の道、事件解決に結実する指揮求める
 10月15日に開かれる明治乳業差別事件の高裁第3回口頭弁論は、原命令・判決の見直しを求めて控訴した事件の、今後の方向が示される極めて重要な節目となります。
除斥期間の形式的運用は不当  継続する行為等に貴重な「意見書」
 明治乳業差別事件の最大の争点は「労組法27条2項(除斥期間)」の形式的、機械的運用の可否にあります。
 この事件で中労委は「格差(差別)の存在」と「不当労働行為」を認定しながら、その事実は10年以上も前に生じた行為であり、労組法の除斥期間を過ぎたものは救済の前提を欠くとして「棄却」としました。これは累積した賃金格差を救済する道を閉ざすものであり、同法の機械的運用は不当の極みであるとして控訴したものです。
 高裁では「継続する行為」「累積格差の一挙是正」などを中心とした「道幸意見書」を提出して争うものであり、突破しなくてはならない最大の争点です。この意見書、法曹界誌に載るなど話題となっており、高裁においても無視することはできません。
平成5年度(審査対象)にも差別不当労働行為はあった
 一方、原命令とそれに同調した原判決は、審査、審理の対象を申立てた直近1年間(平成5年度)とし、その間には昇給昇格決定に差別的査定は無かったとします。とりわけ地裁判決はその余は見るまでもないとして切り捨ててしまいました。  いま高裁でな、この判断の誤りも大きな争点としています。ここでは社内制度の改変にともない、人事考課で意図的に「B考課を与えない」とする不当労働行為が横行したことを実証しなければなりません。
 すでに4証人の採用を申請していますが、特に事件判断に直接かかわるB考課問題を解明するには、証人を採用しての審理がなんとしても必要になります。
 高裁審理に際しても、中労委命令が早期解決を求めた「付言」は生きています。この立場からの早期全面解決にむけた訴訟指揮も考察されることを求めます。

2,東京高裁 第3回口頭弁論期日 10月15日
  定塚誠裁判長は、申請されている4名の証人を却下し「結審」判決日を1月30に午後1時25分とする訴訟指揮を行った上で、この事件を「職権和解」で進める。・・・異論がなければ別室に於いて話しをしたいとしました。
 参加人・明治の代理人と話された後、控訴人側代理人と控訴人代表が入り裁判長からの和解案を聞き取りました。和解案内容は、控訴人側から見るならば非常に厳しい内容でありました。
 しかしながら、争議団は、「職権和解」で進めることを真摯に受け止め高裁の場で解決をめざすことを確認しているものです。


3,全教千葉教育研究集会・12分科会の一つ「権利と平和」で明治乳業争議報告 10月19日
明治乳業争議団の闘い報告レジュメ
1,組合介入・差別の動機は2000名以上の人員削減
 1960年代、大手乳業メーカーは都市部に大型工場を競って建設し、若い労働者を大量に採用。労働条件は劣悪、その改善を求める組合活動が全国の主要工場を中心に急速に高揚します。同じ時期、明治乳業は企業間競争が激化・業績悪化を口実に、「生産効率5倍加を掲げて「人員整理」の大リストラを全国の工場で強行。
2,60年代、経営側の労働組合対策に「労働組合を丸ごと乗っ取る」戦略が横行
 明治も同じ手口で、本社指揮で主要工場に「インフォーマル組織」を昭和41年内
 に一気に結成。昭和50年にかけて支部役員選挙に介入し、意のままに変質させる。
 ※選挙管理委員会支配、職制組合員に見せ合い投票、投票用紙裏にロッカー番号を。
 ※赤い水虫、赤ダニ等々誹謗中傷、生産疎外者、職場秩序破壊者のレッテルを貼り
 ○青○共の呼称で反共攻撃。
 @戸田橋工場(民主化同志会)A東京工場(明鳥一心会)B市川工場(明朋会)
 C静岡工場(富士見会)D石川工場(明友会)E愛知工場(一水会)
 F大阪工場(志宝会)G京都工場(都会)H福岡工場(明和会)
 ※最後まで頑張った福岡支部に職制を12名異動させ昭和50年に乗っ取る。
3,労働者管理の基本を分断におき「赤組・×」「白組・○」「雑草組・△」と管理
 従業員名簿にマークを付けて管理。差別、脅しで屈服を迫り、屈しない者には徹底した差別と排除がおこなわれた。「職制連絡会議」の秘密会議での謀議。
 @赤組には、分裂工作をしろ、些細なミスもたたけ、勤務評定に差をつけろ等々
 A白組には、飲み・喰わせろ、白組に義理を売れ、白組の数を増やせ等々
 B一個人に対する職場八分13箇条の実行メモ、朝夕の挨拶をやめよう、一緒に飯を食べない、極力話しをしない、飲食の行動はしない、仕事上の仕事は教えない、金の借り貸しはしない等々。
4,全国の工場で強まる労使慣行破棄の職場支配
 ※インフォーマル組織を先頭に慣行破り
 @「施設管理権の乱用」
  ・2人寄れば集会だ
   昼休み時間帯、野外で「職場会」開催場所へ届けを出しているかと介入。
   代議員を呼び出し「指導書」を取る。
  ※福岡工場昼休み政党ビラを配布し懲戒処分、最高裁までの闘いで勝利判決。
 A「労使慣行の破棄」
  ・分、秒単位の賃金カット
   出勤入門時間をタイムレコーダー場所から職場到着時間に変更
  ※作業着に着替える時間は作業時間としてたたかう。
  ・ストップウオッチを持ってチェックされ分単位で賃金カットを受ける。
  ※指導書は、勤務評定に反映される。
5,組合活動の排除を狙う、イジメあの手 この手
 @女性労働者が出向先から執行委員に立候補したとたんプレハブ小屋に2年半隔
  離(人権侵害で国会で取り上げ解放される)
 A活動者が登用試験に合格したら「スパイ」を強要、拒否すると同時に差別開始。
 B親・兄弟や出身学校を通して労働組合活動を止めさせるよう介入。
6,闘う支部活動を制して、新職分制度導入にあたり「移行格付け試験」を強
 @工場採用者(一般職)を3分割=技能職、基幹職2級、基幹職1級
  ・全体で9職分
 A人事考課評定=(A〜F) 業績(C)、能力(C)、総合(C))Cが平均値とする。
  ・上位職分への経過年数=中卒(9年半)、高卒(6年半)
  ・各職分に1号級から7号級
  ・経過年数内にD考課が発生すれば、その時点から今一度経過年数を要する。
   =恣意的運用で長期的に下位職分に据え置かれた。
 B見せしめ的差別が連続し下位職分から1段も上げられず定年を迎えた者。
7,工場毎に労働組合支部組織
 @執行委員会・支部大会・職場全体集会、職場代議員・職場会 → 代議委員会
・支部毎に月トータルの残業時間36協定を締結する。
 A職場毎に作業終了後自主的に集まり(アパート)一日にあったことを報告
  ・酒を飲み交わしながら交流かねる
 B要求や職制から受けた攻撃などを職場新聞で門前配布
  ・代議員、支部役員選挙期間中は毎朝門前チラシ配布
 C戸田橋解雇事件、福岡ビラ配布事件、大阪思想差別事件等の支援活動を通して全国連絡会を結成し、中央役員選挙、関西・関東地本役員選挙に立候補で闘う
8,意を決して「労働委員会」に申立て
 @市川工場事件=32名
  ・1985年4月、11年間66回の審査を経て都労委は却下、棄却不当命令交付
  ・1996年、中労委へ再審査申立てるも不当命令交付
  ・2002年、東京地裁に行政訴訟(被告中労委)、同じく却下、棄却の判決
  ・2004年、東京高裁へ控訴。一定の差別、格差を認めながら「古い時期の話」と切り捨てる不当判決。
  ・2007年、最高裁に上告したが不受理の決定で高裁判決が確定。
 A全国事件=9事業所32名
  ・1994年、都労委申立てましたが、市川事件との関係で審査が据え置かれる。
   2005年審査開始、6年間の審査・審問を経て2011年に結審。結審から命令まで1年7ヶ月を要する以上事態の中不当命令
  ・2013年、中労委へ再審査申立て、2017年1月棄却、却下の不当命令
  ※しかし、市川工場、戸田橋工場、大阪工場、福岡工場での不当労働行為の事実を認定する。職分間格差の存在も認定するも申立て年度の前年度に格差を認める事実はないとした。(除籍期間、継続する行為論・法律論)。
  ・申立ての請求は累積した格差(平均97万円)の是正を求めている。
  ※「付言」を特記し、市川工場事件、全国事件合わせて不当労働行為の事実から非難は免れ得ないとした。また、他の集団と比較し職分間格差(その帰結としての賃金格差)存在していたのは紛れもない事実であるとした。
9、2018年10月、東京地裁に行政訴訟(被告中労委)、同じく却下、棄却の判決
   地裁は、中労委「付言」の立場から「和解勧告」を2度提起するも会社拒否。
10、2019年1月、東京高裁へ控訴。口頭弁論(4月、7月)おこなわれて、第3回口頭弁論が10月15日に開廷されました。
  ※東京高裁控訴審第3回口頭弁論期日で、4証人採用を却下し「結審」・判決日(1月30日)を指定してから、「職権和解」で進める。双方個別に裁判長の考え方を伝え持ち帰りとしました。早急に原告等の意向を裁判長に伝える段取りを検討しています。
11,人権侵害を改めない明治には、食の「安全・安心」も守れない立場で一貫した運動を取り組んでいます
   2000年6月に発生した雪印乳業の大量食中毒事件以降でも、明治乳業(現・株式会社明治)不祥事、食品衛生法違反など36件も引き起こしてきている。
 1)学校給食牛乳異臭事件 2017年
  @新宿区と板橋区を中心に「味が薄い」「塩素の臭いがする」などの苦情が、小中学生1900人余発生。
  ・原因を、酪農家生産者の環境問題に、子どもの過敏性にすり替える。
  A争議団と共闘会議は、工場生産システムと原乳供給システムの資料を教育委員会に説明。新宿区の子ども生活環境委員会は全会派一致で、明治の回答に疑問と不快感を表明。都の入札で明治を外し他のメーカーに切り替える。
  ・共産党区議団と参議院山添議員と連携し消費者問題特別委員会で質問。
   厚労省の原因の見解を問うと、「原因は特定されていません」と回答。
   会社明治の見解を取り入れていない。
 2)高カカオチョコレートを食べると「脳が若返る」問題 2017年
  @内閣府と共同研究の成果として大々的に記者会見で発表。
   ・他の学者から単なる32名の被験者と他の比較がないとクレームがでる。
   ・内閣府から経過を聴衆する中で、中間的発表で「勇み足」であったと釈明。
  A内閣府は、追加研究から明治を外す事を決定したと説明がある。
   衆議院畑野議員と連携し消費者問題特別委員会で質問。
12,争議解決に向けあらゆる運動を展開中
 @争議解決と食の「安全・安心」求める社会的包囲、デモ実施
 A中労委審査終了と同時に、本社座りこみ行動を継続中(3年9ヶ月)
  ・9月で第45次(第45次延べ=66日間、1224団体、2601人、91時間)
 B役員宅毎月訪問・要請、近隣宅へチラシポスティング
  ・明治HD(会長、社長)、株式会社明治社長、名誉顧問宅3名(1名物故)
 C東京オリ・パラ競技組織委員会に要請
  ・ゴールドパートナー契約(150億円)をしている関係から、不祥事、労働争議、死亡災害の3つの異常企業を告発、情報提供で要請を9回行っています。
  ・IOC とILOが「覚書」を交わし人権問題を排除することを確認。
13,労使間の長年の闘いの中で、双方の主張を出し合える場を設定させていくための環境をつくる取り組み。
  ※明治の製品は「買わない、飲み・食べない」不買宣言署名を拡散中。
  ・10月16日現在、37,604枚拡散
  ・事務所に2,295人(2,030人分FAXで送っています)


4,東京争議団総行動 10月23日
  「一人の首切りも一切の差別も許さない」をスローガンに結集する争議組合、争議団が終日関係先への行動を展開しました。
 東京地裁、高裁に係争中のKLM・オランダ航空争議、東京私教連鶴川高校教組、東電山梨19歳自死モラハラ争議、明治乳業争議団それぞれから公正・公平な判断を求めました。
 株式会社明治社前(京橋エドグラン)行動には87名が結集し、東京高裁からの「職権和解」和解を真摯に受入れ35年争議の解決に向き合うことを各弁士から強調されました。
 主催者挨拶として東京争議団・筑肱副議長 
連帯挨拶には、明治乳業争議支援共闘会議・松本議長、東京母親大会連絡会・木原委員長、明治乳業争議支援千葉県共闘会議・高橋議長等からいただきました。争議団からの決意を村山事務局長が訴えました。
(各弁士の挨拶はブログを参照して下さい)


5,第46次座り込み行動 10月29日
 冷たい雨天の中14団体35名の参加で30分間スタンディングの訴えを行いました。高裁第3回口頭弁論期日に於いて、「職権和解」の訴訟指揮があったことを報告し、株式会社明治・松田克也社長に解決に向け真摯に向き合うことを、支援共闘会議松本議長、控訴人井村副団長、争議団小関団長が訴え呼び掛けました。

【松田社長への申入れ】は以下です。

2019年10月26日

株式会社 明治
代表取締役 社長 松田 克也 殿

明治乳業争議支援共闘会議
 議 長  松本  悟
明治乳業賃金昇格差別撤廃争議団
 団 長  小関  守

申 入 書
━━ 高裁「和解勧告」を契機に長期争議の終結に向けた実りある対話を求めます
松田社長、35年争議に相応しい解決について当事者企業として検討してください━━

 すでにご承知と推察しますが、東京高裁21部(定塚裁判長)は第三回弁論期日(10月15日)をもって結審とし、併せて職権で和解を勧告するとの指揮を執りました。その後、それぞれの代理人らが裁判長と面談し、裁判所が考える「和解」の内容が示され、それを持ち帰って双方で検討しているのが現在の局面です。私たちは、中労委「付言」の内容や地裁での和解に続いて、高裁も長期化している事件の実情を前提に和解解決を勧告したことを正面から受け止め、今後も和解解決に向けた指揮に誠実に対応し、長期争議の終結に相応しい解決内容での全面解決をめざして努力する決意です。
 貴社は、何度となく繰り返された労働委員会や司法からの「和解解決」への道筋を、代理人に直ちに拒否をさせるなど解決への門戸を頑なに閉ざしてきましたが、今回は「持ち帰る」との姿勢を示されたことを、私たちは解決への一歩と受け止めています。
 しかし、裁判長が考えている解決内容は、長期争議を必死に頑張ってきた当事者らには極めて厳しいものであり、明治乳業争議の歴史的経過や、中労委命令「付言」に象徴される争議の到達点を、全く考慮しないものとなっています。私たちは、和解への訴訟指揮を大事にしながら、粘り強く貴社及び裁判長に理解を求める決意です。
私たちは、長期争議の全面解決に相応しい解決内容をめざし誠実に努力します
 ご承知の通り中労委命令「付言」は、集団間格差の存在を「紛れもない事実」と認め、不当労働行為意思に関しても「会社は非難を免れ得ない」としました。すなわち、明治乳業時代の異常な労使関係について明確に判断したうえで、「当事者双方の互譲による合意をもって解決すること」への道筋を示しました。この「付言」の内容は地裁の和解提起にも生かされ、そして高裁の和解勧告にも反映されるべき内容と考えます。
 貴社は、「付言」には「法的効力は無い」とか、現在も争われている事件の到達点や、都労委に残留する39件の存在も無視し、「争議は終わった」として一切の話合いも要請も拒否しています。しかし、和解勧告のなかで定塚裁判長が、「争議が長引いていることが会社にも影を落としている」と述べているように、人道上も放置が許されない異常な長期争議を、「負の遺産」として清算すべき絶好の機会ではないでしょうか。
松田社長、長期争議の全面解決に相応しい解決内容の検討を心底から要請します。

以上


Copyright 2006 Meiji Dairies Strikers. All rights resarved.