12月活動レポート
(12月25日)

1.東京争議団裁判所(地裁)共同宣伝
東京地裁(民事19部春名茂裁判長) 明治の不当労働行為 認めず「請求棄却」の不当判決に強く抗議する
過去に遡る継続審理 長年にわたる累積格差を否定
 明治乳業差別「全国事件」に対する東京地裁判決が11月29日、出されましたが「請求をすべて棄却する」という不当な判決でした。事件は労働組合活動を理由とする賃金・昇格差別の是正を求めて長期に闘っているもので、昨年2月に中労委が出した「棄却」命令の取り消しを求めて提訴していたものです。
 判決は、最大の争点としていた「継続する行為」(1960年代から累積する差別、不当労働行為を総合的に判断する)を、労組法27条2項「除斥期間」を機械的に引用して適用外(不適法)としました。これにより審理対象期間(平成5年度)には「不当労働行為が成立するということはできない」とし、原告が求めた「累積格差の一括是正」については「原告らの主張は採用することができない」と退けました。原告ら年平均97万円の賃金格差、13年にもおよぶ職分差別を葬り去ったのです。
 さらに中労委命令が判断しなかった、救済年度前後に拡大している格差等についても「有意な格差があるとはいえない」としました。 原告らは、「和解勧告」破談後は4証人と立証計画を申請して機会を求めてきました。しかし春名裁判長は「証人の必要はない」とし弁論終結「結審」とする乱暴な指揮を執ったなかでの判決でした。
 証人不採用の厳しいなか、なんとしても長期争議全面解決につながる判断を求めて、原告らは書記官要請、申し入れ行動を重ねてきました。裁判長・裁判官にも原告らの心情、思いのたけは伝わっているはずです。こうしたなかでの「棄却」とする不当判決は許されるものではありません。この異常な判断に断固、抗議するものです。
 しかし判決では、中労委が特記した「付言」については否定しておらず「互譲の努力」は生きているものです。原告らは、この不当判決を許さず全面早期解決に向け、次の闘いを準備するものです。

2.12・6 全労連・東京地評争議支援総行動
 争議支援総行動は、東京地裁(11月29日)の判決を受けた直後におこなわれました。判決は、中労委命令を追認した「不当判決」でした。しかし、中労委が過去の事実としながらも認定した、集団間格差の存在や不当労働行為意思、さらに「付言」を特記して、会社に「異常な長期争議の解決」を提起した積極的側面には言及する事なく追認する内容の判決でした。

総行動主催者全労連・小田川義和議長挨拶
 裁判所の和解勧告にも、労働委員会での不当行為性や組合差別の事実の確認などの経過を経てもなお、解決姿勢を見せない明治の姿勢は極めて特異な企業です。その特異性を強く批判し、解決のテーブルに着くよう求めたい。 
 法的な制約はあっても、明治乳業が、労働組合活動を行う労働者らを差別し排除するために、労働者を紅組・白組・雑草組に分類して管理をし、働く者の人権や食品の「安全・安心」を求める労働者らに「紅組」のレッテルを貼り、昇給・昇格や仕事差別など人権侵害の限りを尽くしてきたことは疑いのない事実。この点を真摯に反省した対応を明治が行うよう、再度、求めたいと思います。

判決報告・弁護団事務局長金井克仁弁護士
 判決は一言で云って、極めて形式的、法律的に中労委命令を追認したに尽きます。
 3つの間違いがあります。1番目は、明治乳業の差別行為は30年を超えて毎年毎年継続され累積された差別ですが、それを裁判所は、平成6年の申立ての一年前の平成5年の時に不当労働行為があったかどうかを判断すれば足りると言ったことです。
 2番目は、その考え方によって平成5年にどうゆう不当労働行為があれば問題になるのかということについて、裁判所は平成3年から平成5年までの3年間の人事考課に差別があったかどうかと判断したことです。
 3番目は、私たちは継続した累積した差別で平成5年にぶった切って判断するとしても、累積格差を将来に向かって一括して救済する方法を否定したことです。
 ただし地裁判決は、中労委が過去に差別があったこと、平成5年に格差があったこと、インフォーマル組織をつくって明治乳業争議団をいじめたということを認定したことについて、これを覆させることはできませんでした。それから有名な付言で会社に早期に和解に応じろと言った付言も取り消すことはできませんでした。(3つの間違いに対する事実評価は省略)

明治乳業争議支援共闘会議・松本悟議長挨拶
 争議の到達点は、差別も人権侵害も事実と認定した中労委命令、それを追認した東京地裁判決を勝ち取り、潮目は変わり、明治は追い詰められています。
 一つは、明治の目玉商品のR−1ヨーグルトや高カカオチョコチョコの薬事法違反などを国会質問し、メディアが取り上げ、消費者の不買にあいました。その結果、4〜9月期の明治の決算は、統合後初めて、減収、減益になり経営責任が問われいます。
 二つ目は、リストラの嵐です。根室工場、北陸工場、十勝帯広工場、北上工場の閉鎖を発表し、社員と地域社会の不満が高まっています。
 三つ目は、TPPが12月30日に発効し、明治に激震が走ります。乳業協会の分析では、北海道のチーズ工場などは壊滅、都府県の酪農業も壊滅に追い込まれると分析しています。争議にエネルギーを使っている場合ではありません。
 明治HDの川村和夫社長、明治の松田克也社長、食の安全と人権を守るまっとうな企業にならない限り、未来はありません。この争議解決は、名誉顧問も筆頭株主も消費者も社員も求めています。一日も早く話し合いのテーブルに着くことを求めます。

日本婦人団体連合会・柴田真佐子会長挨拶
 日本婦人団体連合会は、食の「安全・安心」を守り、子どもたちの安全と未来を守る立場で、明治乳業争議を支援してきました。
 明治グループのホームページ、CSRに関する基本的な考え方の中の人権方針を読み上げ紹介した上で、この間、「学校給食牛乳」異臭問題もありました。「異臭」を「風味」と言い換え、発生原因を酪農家や子どもの感覚にすり替える等、自社の責任を認めようとしていません。一方「脳の若返り」を謳った高カカオチョコレートの問題もあります。この問題は国会でも追及されました。明治の企業モラルとコンプライアンス違反はどこまで続くのでしょうか。
 東京オリンピック・パラリンピックへの食材調達するスポンサーシップ契約を目指しています。資材を提供するには「食の安全」確保はもちろん、作業者の安全や人権尊重などで健全な企業でなければなりません。明治の多発する製品事故などの不祥事と労働争議、人件否定が絶えない異常体質がオリンピックのパートナーになれるのでしょうか。
 食の「安全・安心」は食品会社の命です。私たちは、食の「安全・安心」のためには、物言う労働者、労働組合が必要だと思っています。「働く者の人権を守れない企業には、食の安全を求める私たち消費者の安全も守れません」。

争議団の決意・小関守団長挨拶
 明治乳業争議は長期に及ぶ闘いですが、私たちは昨年1月の中労委命令を契機に、潮目の変化に確信を持って闘っています。そして、この潮目の変化は先月29日の不当な地裁判決によっても揺らぐことのないものです。中労委命令は、集団間差別の存在を「紛れもない事実」と断定し、不当労働行為についても、「会社は非難を免れ得ない」と断罪しました。
この中労委命令「付言」の内容は、不当判決によっても否定されることなく、明治乳業争議の到達点として生きているのです。私たちは、この間、東京地裁を闘いながら、この同時に、この明治に対し「中労委命令の付言を真摯に受け止め、直ちに話合いに応じろ」という、道理ある申入れと包囲運動を強め、この本社の扉を押し開けることに総力を挙げています。
私たちは高齢者争議団となっています。齢を重ねることは避けられませんが、しかし「このままでは人生終えられない」の決意で頑張っています。私たちは、団員個々の可能な力を無理なく寄せ集め、粘り強く会社包囲運動に総力を挙げています。
そして、不当判決に屈することなく控訴審を闘い、高裁審理の早い段階で「解決局面を切り拓く」目標で、争議団全体の意志を固め頑張っています。



3.明治HD筆頭株主・みずほ銀行要請 12月11日

株式会社みずほ銀行 代表取締役頭取  藤原 弘治 殿
           明治乳業争議支援共闘会 議 長  松本  悟
           明治乳業賃金・昇格差別撤廃争議団 団 長  小関  守

要 請  書

30年超の異常な長期争議は人権問題、解決に向け筆頭株主の仲介役を切望します
地裁判決も否定し得なかった中労委「付言」に基づく争議解決は道理に叶う道筋

 本日の要請は、前回(11月15日)お伝えした通り、11月29日の地裁判決の内容を踏まえた上で、長期争議の全面解決に向けて筆頭株主としてのご尽力をお願いすることです。
東京地裁判決は、中労委命令が労組法27条2項(除斥期間)を理由に「棄却」とした判断の枠組みを維持し、多くの差別事件を通して蓄積されてきた命令例や判例とも矛盾する不当な内容でした。しかし、中労委命令が「救済年度から離れた時期の事実」として認めた、集団間に存在する格差や不当労働行為意思の認定、さらに「付言」を特記して、殊に会社に対し「より大局的見地に立った判断が強く期待される」等と、異常に長期化している労働争議の解決に向け道筋を示した積極面には言及(否定)することなく、私たちが「道理に叶う全面解決への提起」と評価している、「付言」の立場が維持される判決でした。
 筆頭株主として中労委命令「付言」の内容を踏まえ、(株)明治を強く説得してください
私たちは地裁判決を踏まえ、二つの角度から早期解決への道筋を切り拓きたいと決意しています。一つは、筆頭株主みずほ銀行にご尽力を頂くこと等を前提に、早期に(株)明治との話合いを実現すことですが、私たちは「何らの条件も付すことなく真摯に話合う」姿勢でいます。二つは、労働委員会や司法判断の在り方を問い続けることを含め、全面解決までは(株)明治との重要な接点である、第三者機関(都労委残留39事件も含め)での闘いを継続することであり、今回の不当判決も控訴(高裁)して闘う体制を準備しています。
 しかし、いま私たちが総力を挙げて取り組むのは、地裁判決も否定し得なかった中労委命令「付言」に記載の、「このように長期化し、深刻化した紛争を早期に解決することが当事者双方に強く求められるところであるが、そのためには、当事者双方の互譲による合意をもって紛争の全面解決を目指すべきことは自明の理である」との内容に基づいて、「すでに終わった訴訟」等と、門戸を閉ざしている(株)明治との話合いを実現することです。

以上


4.明治HD・(株)明治社長、名誉顧問宅要請訪問 12月15日
 株式会社明治・松田克也社長、株式会社明治・中山悠名誉顧問、同・浅野茂太郎名誉顧問宅へ訪問してきました。
 松田社長宅は留守模様でした。中山宅は奥様が応対していただきましたが、「終わったのですよね」といきなり切り出してきました。これと同じく浅野宅でも女性がインターフォンで「終わったと聞いております」と答えています。これらは11月29日東京地裁判決を受けてのことだろうと思いますし、連絡を取り合っていることからです。
 浅野宅の女性からの応対に何を根拠として終わったと言っているのですかと問いただすとインターフォンを切りました。
 中山宅では、判決の根拠と不当性を聞いていただき、これまでの経緯では自主的解決は望めそうもないので、改めて第三機関の高裁に控訴手続きをおこなったことを伝え、名誉顧問でありますご主人に話しをして下さいと申しあげてきました。

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